朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
大学で経済学を学んで、新卒で朝倉コーヒーに入社。
研修の後、与えられた初めての仕事は地下街の店舗勤務だった。

コーヒーは好きだ。
だが、実家から大学に通っていた俺は、その好きなコーヒーでさえも、自分で淹れるようなことはなかった。

いつも母や泉が淹れてくれるまで待っているのが当然だと思っていた。

もちろん、自分で淹れることは出来る。
兄弟全員、祖父に教えられたからな。
コーヒーが飲めない環でさえ、美味しく淹れることは出来るんだ。

初めての店舗での仕事は、頭より身体を使うことばかり。正に労働だった。

一日中立ちっぱなしで、コーヒーを淹れ、軽食を温め、レジに立つ。

勉強か株価を見ることしか、興味がなかった俺には、慣れないことだらけだった。

そんな時、本社で社内研修があり、各店舗に散らばっている社員が集められた。

研修内容は
【朝倉No.8の新たな淹れ方〜和菓子と共に〜】
というものだった。
< 309 / 517 >

この作品をシェア

pagetop