朝倉家の双子、恋をします！〜めぐり来る季節をあなたと〜

「君たち、これは偶然の産物ではないと思うよ。和菓子に合うコーヒーというコンセプトのもと、研究に研究を重ねてようやく辿り着いた淹れ方だ。
仮にこれがNo.1だったらこの淹れ方で和菓子に合うコーヒーになっただろうか？
ならないだろうね。
おそらくボケた味になるはずだ。
No.8を使ったのは、朝倉のコーヒーを知り尽くしているからなんだよ」

そう言って他の社員を黙らせたのは、栄町駅前店勤務の佐々木恭一だった。

そう、後にparkside Aの店長になる佐々木さんだった。

俺が思っていたことをそのまま言ってくれた。

すっきりしたし、花の研究成果を理解してくれて嬉しく思ったが、同時に俺が社員達に対して、何も言えなかったことに罪悪感を感じた。

研修が終わったあと、居ても立ってもいられなくて、俺は佐々木さんの後を追いかけた。