朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
それにparkside Aは有名建築家の作品だけあって、素晴らしい空間だった。
そこに居るだけで癒されるような、安らぎの場だった。

オープンから8ヶ月。
店は順調だし、顧客も付いたし、ラテアートも上達した。

だが時折り、どうしても劣等感や無力感に襲われる時がある。

そんな時、何故かタイミンクよく現れ、寄り添ってくれるのが撫子の存在だった。

撫子と今の関係になって、もう3年半が経とうとしている。

付き合おう、と言った俺の言葉はあっさり退けられ、体の関係を重ねた大学時代。

撫子は学業に専念し、夢を叶えると目標を持って頑張っていた。

しかし、結局学芸員の夢は叶わなかった。

落ち込む暇もなく、次なる夢に突き進もうとするも、家庭の事情により、家業を手伝うことに。

あれだけ勉強を重ねてきたのに、家族のためだと、文句1つ言わず今の仕事に就いた。
俺はその全てを見てきたんだ。

俺が店舗での仕事に無力感を感じていた時、撫子もまた、現実を受け入れようともがいていた。
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