朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
東京のセレブ御用達大病院内に、今までの朝倉コーヒーとは全く違う形態のカフェをオープンさせるため、関西から家族で住居を移したのが4年前のこと。

このカフェが軌道に乗り、昨年のA terraceへのリニューアルで、さらにメディアに取り上げられるようになった。

『やり手の実業家』という言葉がこれほどぴったりと合う人もなかなかいないだろう。

従姉の花はそんな伯父の血を受け継いでいて、次々と新しいアイデアを生み出す。

そう。俺とは全く違うのだ。

朝倉コーヒーに入社して1年3ヶ月。
店舗での仕事は嫌ではない。
むしろオープニングスタッフとして入っているこのparkside Aには深い思い入れがある。

入社してすぐに入った地下店舗の時とは全く違うのだ。日々楽しく過ごせている。

人見知りな俺でも、カフェの客と一期一会を楽しめるのだと、このparkside Aで学んだ。

常連客が挨拶してくれるのも、ラテアートで客を笑顔に出来ることも、一つ一つがここへ来てからの努力の積み重ねだ。

ただそれは、カフェのいちスタッフとして当然のことで、何かを成し遂げたわけではないのだ。
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