朝倉家の双子、恋をします！〜めぐり来る季節をあなたと〜
俺はこんなに無力な人間なのか？
このままでいいのか？
何か出来ることがあるのではないか？
常にその想いが頭をよぎる。

そうして、たどり着いた答えが……。

『俺は朝倉コーヒーの跡継ぎには相応しくないのではないか』

という事だった。

既に嫁いだとはいえ、花が社長の娘であることに変わりはない。

そうだ。花に社長になってもらい、俺は父のように補佐に回ればいいんじゃないか？

元々俺は目立ちたい性格でもない。
趣味は株価の流れを追うことっていう、面白みのない人間だ。

明るくて誰からも好かれる弟の宣とも違う。
それに、宣の方が純粋にコーヒーに探究心を持っている。

朝倉のためにはきっと俺じゃない方が……。

花の結婚式が近づくにつれ、そんな思いが頭をよぎる。

花に話をしてみようか。
果たしてそんな瞬間が、結婚式までに訪れるのかわからないが……。




夏の休暇に向けて、無力感を感じながらも慌ただしい毎日が続いていた。


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