朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「撫子は良かったのか?」

「泉達と過ごすからって残ったの。
……あ、泉とうちの家族、ばったり会ったりして。
まあ、広いし混んでるし……ないわよね?
それより、真は良かったの?
一緒に夢の国へ行かなくて」

「俺にあのバカップルと一緒に夢の国へ行けと? 」

「……うん。ないね」

「それにあいつらは……」

「ねぇ〜お腹減った!
早く食べに行こ? どこに行く? 」

相変わらず、食い意地が張ってる。
しかも人の話は聞かない。

「……ここに部屋を取ってる」

「え? そうなの?
真、東京に戻るのかと思ってた」

「いや、お前が疲れてると思ったから」

「……っ!!
……………………うん」

撫子が突然顔を背ける。

……?
なんだ? このホテル、気に入らなかったのか?
東京に戻って、ヘブンリーの方が良かったのか?
ここも、幕張では最高ランクのホテルなんだが……。

「い、行こっ!
先に荷物置きたいし。早くっ! 」

「……ああ」

まあ、結構いい部屋だったし。
文句を言うようなやつでもないか。

「荷物持つよ。
……この紙袋、HASEGAWAのか? 」

「あ、うん。
また頂いたの。バームクーヘン」

頂いた?
京に貰ったのなら『頂いた』とは言わない。

「……誰に?」
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