朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「……」

普通、興味無いだろうよ。
男が和小物に。
間違いなくお前は狙われているんだよ!

……こいつ、なぜ気づかない。

昔の事とはいえ、達矢さんとバックハグごっことか、有り得ないだろう?
危機感を持て!

ムカつく気持ちを押え、エレベーターに乗り込む。幸い誰も乗って来ることはなく、一気に上昇し、23階で止まる。

「……随分と、上の階なのね…」

「高い所、ダメだったか? 」

「そういう事を言ってるんじゃなくて…」

落ち着いた色調の、幾何学模様の絨毯が敷きつめられた廊下を歩く。
部屋は一番端だ。

「ここだ」

カードキーをかざすと、ロックが外れる。
入って斜めに伸びる廊下を進むと、リビングルームに突きあたる。

「へ、部屋が2つある…………広っ!
真…ここ、ひょっとしてスイートってやつ? 」

「ベイスイートって言ってたかな。
スイートって幾つかあるらしいけど、ここしか空いてなかったんだ。
良くわからんが……」

「う、嘘でしょ!?
こんな広いとこ、もったいない…」

撫子が何やらブツブツと言っているが、そんなことより……。

カーテンを引いていないバルコニーに面して、ルームサービス用のテーブルが設置されている。
夜景に向かって横並びに置かれた2つの椅子。
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