朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
とっさに出てきたのが『許嫁』と言う言葉だった。

正直、長谷川家で親が勝手に決めた相手なんているわけがない。
両親も伯母達も、祖父母の世代までも、皆んな自由恋愛で結婚している。
本人同士の気持ちが一番大切で、見合いでさえあり得ない家風なのだ。

ただ、俺の父親は、8歳の時に4歳だった母親に一目惚れし、母親が高校生になった時には婚約していた。

完全な恋愛結婚だが、当時は『許嫁』と言う間柄だったと思われる。

だったら俺達だって……。

俺はもうずーっと前から泉が好きだ。

確かめたことはないけど、泉だってそのはず。

いずれ泉に告白して、大学を卒業したら結婚するつもりだから、許嫁って言ってもいいんじゃないか? 

そんな勝手な考えが頭をよぎって

「……森の気持ちは嬉しいけど、俺、親が決めた許嫁がいるんだ。
だから付き合えない」

そう言った。
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