朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「あー寒い! まだまだ春は来ないね。あれ? 泉、マフラーどうしたの?」

「あっ! 忘れてきた……。
どこだろう? 
……朝から覚えがないから、多分教室だわ」

「取りに戻る?」

「えー。めんどくさいかな。もう来週でいいよ。来週まで我慢する」

今から、また靴を履き替えて2階の教室まで行くなんて面倒だ。

「そう? あ、正門を出たら、髪を下ろしなさいよ。少しは暖かくなるよ」

「うん。そうする!」

中学部の校則では、肩に付く髪は後ろで一つに纏めなければならない。でも、正門を出たらいいよね?
髪を下ろしていたら、高校生に見えるだろうし。制服は同じだからね。

正門を出て少しすると、私も撫子も髪を解くことにした。
私の髪は母に似て、癖っ毛の全くない直毛。
アレンジの効かない髪質なので、面白味がない。年に一度、美容院に行くくらいで、伸ばしっぱなしの超ロングだ。

「いいわ〜。その髪!」

「なんなのよ……突然」

「だって、イズミそのものじゃない!」

「あー……」

双子戦士のイズミね。
撫子は『双子戦士モーニングスター』の大ファンなのだ。だからこの反応はいつものこと。
< 509 / 517 >

この作品をシェア

pagetop