朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
たしかに。
6階エレベーターホールなんて、目立つところにいたんだった。お昼休み中だから問題ないとはいえ、これは良くない。

「ごめんごめん。ここじゃダメだよね」

「……で? 真か?」

「あぁ! うん、そうよ」

「……そうか」

やっぱりな…と言って口を尖らせている。

「あ、京にもあとで連絡するつもりだったのよ? 今からお昼休憩?」

京は現在HASEGAWAの営業部に所属している。

「会議が長引いて、遅くなったんだ。
今から昼メシ。泉は?」

「私はもう済んだわ。これから撮影なの」

「そっか…」

「ねえ、ここじゃちょっと話せないから、今日時間取れない?」

この会社の跡取りである京と立ち話をしていると目立ってしまう。

京は社長であるお父様譲りの、ココアブラウンの髪に色白肌のイケメンさん。タレ目がちな目は愛嬌たっぷりで、社内でもアイドルのような、いや、王子様のような存在なのだ。

実際、HASEGAWAの跡取りで、本当にこの会社の王子様なんだけどね。
とにかく目立つ。

「今日は接待もないから大丈夫だ!」

あ、機嫌が直った。

「良かった。 
じゃあ終わったら連絡する。
多分定時で帰れると思うよ」

「カメラマン、誰?」

「小隈さん」

「なら大丈夫だろ。定時だと思っておく」

「うん。じゃあ私は戻るね」

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