朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
クローゼットを開けて、淡い水色のタートルネックセーターを取り出す。
大学時代からこんなことが多くて、私のワードローブにはタートルネックやらハイネックが多い。

しばらくお預けにしてやる!

そう心に決めて、私は階下へと足を運んだ。

開放的なリビングダイニングに入ると、2月とは思えない眩しい朝の日差しが南東の大きな窓から差し込み、それを無垢のチェリーウッドのフローリングが優しく受けとめていた。
床と同素材の一枚板のダイニングテーブルは母のお気に入り。そこではすでに、父と環、それから弟の宣が朝食をとっていた。アイランドキッチンには母の姿。皆、定位置ついている。

「おはよう、泉。パン温めたわよ」

「おはよう〜。今日はなんのパン?」

「ココアとクルミ」

母は最近パン作りにハマっている。
週末は大抵、朝食に手作りパンが並ぶのだ。
いい香り。
そしてこのココアとクルミの組み合わせは父のお気に入りで、我が家の大定番だ。
丸く焼いたふかふかの生地に、クルミの食感がたまらない。塩気のあるバターを塗っても良し。そのまま食べても、ココア生地が甘くて、香り良く美味しい。
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