朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「…泉、こっち」

「え?」

エレベーターホールのすぐ横にある、階段室に私を引っ張っていく。

「なに………ん、んん!?」

突然唇を重ねてくる京。

「ちょ、ちょっと……京っ!
…あん、ん…」

し、舌まで! 
こんなところで誰かに見られたら大変だ。

「け、けいっ、ダメ!」

「フッ……午後からの元気もらった。」

ニコッと笑う京。

「ハァァ……も、もうっ! 
誰かに見られたらどうするのよ!」

突然の甘い攻撃に息も絶え絶えだ。

「だって、せっかく泉に会えたのに……」

「…こういうのは仕事が終わってからにして」

真面目に怒っているのに、ニコニコ笑いながら頬に手をかけてきて、全く聞いていない。

「も〜! 聞いてるの? 」

「うん。じゃあ、撮影頑張って」

そう言って、もう一度軽く触れるだけのキスをして、京は階段を降りていった。

京ったら……ここ会社だよ?
しかも皆んなが使う階段でなんてことを! 
後でお説教してやる。

私はおそらく赤くなっているであろう顔をパタパタと仰ぎながら、エレベーターホールに戻った。




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