愛するあなたへ〜blue roseを私にください
地元では、お父さんやお母さん年代の先輩と仕事をしていたから、社長を始め、翔羽に勤める洗練された人達に囲まれ、少し萎縮していた。

そんな中、45歳の佐野さんは、仕事には厳しいけど、とても気さくで、面倒見がいい先輩だ。
そして、創立メンバーで社長からの信頼も厚い、私の憧れの先輩だ。

最終面接は、羽瀬翔(はせ かける)社長。
社名の「翔羽(とわ)コンサルティング」の翔羽は、きっと社長の名前から付けたと思う。

端正な顔立ちで、二重で切れ長の涼しい目元は、一見クールに思えたけど、話をすると、物腰柔らかく、この社長の下で働きたいと思い、内定の連絡をもらった時は、直ぐに承諾をした。

今33歳の社長は、大手のコンサルティング会社に努め、30歳で独立したらしい。
固定顧客から紹介される客先が増えてきている、従業員20人ほどの事務所の社長だ。

『非の打ち所がない』
そんな人って居るの?と思っていたけど、社長はその言葉通りの人だ。
女性社員が見惚れ、憧れる声が聞こえてくるのは、仕方ないと思う。

そんな社長の左手の薬指には、シルバーの指輪が輝いていた。
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