愛するあなたへ〜blue roseを私にください
次の日の朝、急ぎの書類を郵便に投函し忘れているのを思い出した。
「あぁ~、もう、せっかくの休日なのに、昨日は約束の時間気にして、忘れてたよ・・・」
買い物前に、事務所寄って行かないと。

朝早く準備をして事務所に入った。
「あれっ、社長室ドア開いてる・・・」
社長、休みなのに仕事かなと、部屋に入ってみると、ソファに社長が腕を組んで横になって寝ていた。
「社長、昨日泊まったんだ・・・」
昨日見かけた車は社長じゃなかったんだ、思い違いだよね。

社長、最近案件が多かったし、それでも皆が相談すれば嫌な顔せず、話を聞いてくれる。
「社長、お疲れ様です」
近くにあったブランケットを、起こさないようにそっとかけた。
寝息を立てる社長を間近で見ると、まつげが長い。

こんなに近くにいるのに、決して手が届かない人・・・
憧れからいつの間にか大好きになってしまっていた。

「大好きです」
小さな声でささやいた。
きっと社長には届かないこの気持ちを、眠っている今なら・・・
それならきっと、許されるはず。
そう言い聞かせると、気持ちの葛藤で目の前が潤んできた。

左手に光る指輪は、社長の大切な人との愛の誓い・・・
胸がぎゅっと締め付けられた。
社長から離れようとした時
「う~ん」
社長は夢を見ているのか、私を抱き枕のように抱えてしまった。
びっくりして声が出そうになったのを、起こしちゃいけないと堪えた。
< 20 / 110 >

この作品をシェア

pagetop