愛するあなたへ〜blue roseを私にください

私は、はっという顔をして、社長を見つめると、社長の顔が一瞬曇った。
「まぁ、社内恋愛は自由だけどね」
私から目線を外し、社長はそのまま社長室に戻って行った。

社長に、私が曽根くんを好きだと勘違いされたかもしれない。
それよりも、さっきの言葉は、社長は、私が曽根くんと付き合っても、好きにすればいいって言われたように思えた。

好きな人に面等向かって言われると、こんなにつらく、寂しいなんて・・・
こんな気持ちじゃ、仕事もはかどらない。
片付けをして帰ることにした。

社長室に挨拶だけして帰ろう・・・
「社長、お先に失礼します」
「あぁ、お疲れ様」
社長は一瞬だけ目を合わして、書類に目を通していた。

「日比野さん、今日ランチ一緒にどう？」
「すみません、お弁当持ってきたので」
「じゃあ、今度は前の日に声をかけるよ」

あれから、曽根さんはよく声を掛けてくれる。
仕事を教えてくれたり、手伝ったりしていることで、距離が近くなってきている。
「なんか、最近曽根くん、日比野さんに寄ってくるわね」
「そうですかねぇ・・・」
佐野さんは、曽根さんの行動を不審に思ったようだ。
心まで見透かされたようで、どきっとした。
「ねぇ、明日は私とランチ食べに行こうよ」
佐野さんの笑顔は、どこかいたずらっ子のような笑顔だった。