愛するあなたへ〜blue roseを私にください
次の日、お昼休憩になって、佐野さんと一緒に近くのカフェにランチに出掛けた。

「ところでさ、曽根くんのことだけど、付き合ってるの?」
「付き合ってないですよ。ないですけど・・・」
「ないですけど?」
「・・・言えません」
「私に言えないことなんて、あるのかしら?」
佐野さんは不敵な笑みを浮かべて、私をじっと見ていた。
「・・・実は曽根さんに告白されたんです」
「あら、良かったじゃない。優しいし、明るいし、可愛いし」
「社長が後から来て、2人の様子を見て気づいたようで、社内恋愛は自由だって言われまして・・・」
「ふーん、そんなことを・・・でも確かにそうよね」
「私には光栄なお話だとわかっているんですが、お付き合いしたいとかそういう感情はなくて」
「他に好きな人でもいるの?」
「それは・・・気になる人はいます」
「そう・・・ただ、付き合ってみて、好きになっていくこともあるけどね。まぁ、私は日比野さんのことは、全力で応援するから。自分の気持ちを大切にしなさいね。日比野さんの気持ちは、きっと伝わると思うわ」
「ありがとうございます」

佐野さんに本当の気持ちを言ってしまえば、少しは楽になるんだろうけど、言えない人を好きになっている。

「素直になればいいのにね」
ぼそっとつぶやいた、佐野さんの言葉の意味は理解できなかったけど、せっかくだから、今度の食事は行ってみよう。
叶わぬ恋を追いかけることの、区切りがつくかもしれない。
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