愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「なんだ、2人ともここでランチか?」
社長が私と佐野さんの席の横に立っていた。
「丁度ランチが終わったところですよ。そうだ、社長!日比野さん、曽根くんに告白されたこと、今聞いてたんですけど、社長公認されたんですって?」
佐野さん!私の前で社長に言うなんて!
私、どんな顔したらいいんですか!
「そうみたいだね。まぁ、社内恋愛は自由だよ。日比野さんが決めることで、俺には関係ないことだ」

社長のそっけない言葉が、胸に突き刺さる。
「そうですよね、社長には関係のない話ですよね。日比野さん、曽根くんの話、帰りながらもっと聞かせてよ。久々にどきどきする!じゃあ、私達、戻りますね、社長」
佐野さんは、立ち上がって、私の手を引いて、レジへと向かった。

「もー、腹立ってきた」
佐野さん、さっきからどうしたんだろう?
私は、社長に完全に勘違いされたショックでそわそわしていたけど、何故か怒っている佐野さんに手を引かれながら、事務所へと戻って行った。

ランチから戻ると曽根さんが席の横に来て
「日比野さん、明日の金曜日、ここで待ってるから」
曽根さんに渡されたメモには、時間と待ち合わせのお店の名前と連絡先だった。

迷ったけど、一緒にご飯を食べてゆっくり曽根さんと話をしてみよう。
「わかりました」
「じゃあ、楽しみにしているね」
曽根さんは嬉しそうに席に戻っていった。
そうだ、1歩踏み出してみよう。
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