愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「それは後から説明する。俺以外の男に目を向けないで」
「社長・・・」
「曽根には悪いけど、今からのデートの約束、断って」
「約束は明日ですよ。今日は今から買い物に行こうかと」
「はぁっ?なんだよ佐野さん・・・完全にやられた」
社長は頭を掻きながら、照れ笑いしていた。

「ちょっとだけ待ってて。鞄取ってくるから」
社長はまた走り出して、事務所に戻り、鞄を持って戻って来た。
「婚約者の話、説明するよ。うちに来て」
突然の話の展開に戸惑う暇もなく、社長は私の手を握り、引っ張って行った。

着いたマンションは何階建てだろう。
見上げるマンションは、ホテルのようだった。
「中に入って」
白をベースにした壁に、広いダイニングキッチン、木目調の家具はとても落ち着きがある。
窓から見える夜景が綺麗で、社長って凄いんだ!と感心していた。

「ソファに座ってて。コーヒーと紅茶、どっちがいい?」
「紅茶でお願いします」

ソファに座って待っていると、社長が紅茶をテーブルに置いて、横に腰かけた。
それから、指輪をゆっくりと外す。
「婚約者はいないよ」
「えっ?でも、佐野さんが、社長がベタ惚れしてるって、そう言ってたって」
「佐野さんだけが知ってるんだよ。俺が婚約していないこと」
「・・・どうしてそんなこと」
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