愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「俺、独立したての頃、従業員への接し方がわからなかったから、女性社員に凄く優しく接していたんだ。あくまでも仕事だけだよ。それでも勘違いされてね。女性社員同士で、揉めて、結局、顧客に迷惑を掛けて、結構信頼回復が大変だったんだ」
「社長に優しくされたら、確かに勘違いしますよね」
「だから、佐野さんと話をして、婚約者がいることにして、婚約者にベタ惚れしていることとか、俺に質問しないようにとかを、入社した人に佐野さんから何気なく言ってもらうようにしたんだよ」
「そうだったんですか」
「日比野さんのこと気になりかけていた時、曽根が近づいているのを見ると、もやもやした気持ちが抑えきれなくなってきた。そしてあの時、大好きと言ってくれた時、思わず抱きしめてしまった・・・」
社長は、私の髪をかき上げた。
「ただ、曽根と日比野さんの距離が、段々近くなっている時、日比野さんが曽根を好きになるのを、俺が邪魔していいのかって気持ちも出てきた」
「社長・・・」
「嫉妬を抑えるのに必死だったよ。でも、無理だった。抑えれば抑えるほど、日比野さんへの気持ちが膨れ上がった」
社長の熱い眼差しから目が離せない。
「大好きだよ。春花」
「社長」
唇が重なり合う。
嬉しい・・・
涙が頬を伝う。
夢を見ているようだった。
「春花・・・」
< 28 / 110 >

この作品をシェア

pagetop