愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「・・・そうか・・・分かったよ。誰にも言わない。ただ、辛い恋だよ」
「ごめんね」
翔さんの本当の事は言えない。

食事が終わった頃
「おっ、2人で食事か?」
「しゃ、社長?」
私が目を丸くしていると
「隣いいか?」
翔さんは、曽根くんに問いかけていた。
「は、はい、どうぞ」
翔さん、どうして来たのよ・・・
「2人で何しんみりしてるの?」
「いえ、全然しんみりなんてしてませんよ、ねぇ、日比野さん」
「え、えぇ、お腹いっぱいになったので、ゆっくりしてました」
「あっ、社長、実は僕、これから急ぎの用事があって、もう戻りますね。日比野さんもごめんね」
「は、はい」
曽根さんは慌てて、席を立って会社へ戻って行った。
「どうして来るんですか?」
「2人の姿想像したら、やっぱり妬けてきた」
「翔さんはもう」
「断ったの?」
「はい、今日は行きません」
「今日は?」
「曽根さんと食事には行きません!」
「じゃあ、仕事、早めに終わらせるから一緒に帰ろう」
いたずらな目で見つめられ、私はそれ以上、曽根さんの話をすることはなかった。
「いいね?」
「わかりました」
余裕の翔さんとは正反対に、私の胸の鼓動は高まりっぱなしだった。

その夜、翔さんが事務所を出た後、私も直ぐに事務所を出た。
翔さんの車に乗り、家の近くで食事を済ませ、帰ってからシャワーを浴びた後、2人で動画配信の映画を観た。
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