愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「純太、事情は分かったわ。少し1人にさせてくれる？」
純太は頷いて、部屋を出て行った。

窓から工場の機械音が聞こえる。
小さい頃から聞き慣れた音だ。
土曜日も午前中は工場を動かしていた。
「私が翔さんの家でゆっくりしている時も、仕事してるんだもんね」
私は、気持ちの整理ができないまま、工場へと足を運んだ。

「おっ！春花ちゃん、お帰り！1人暮らしはどうだ？ご飯食べてるか？」
「うん、いっぱい食べてるよ」
「おいしいもの食べたかったら、うちの奥さんのご飯、また食べにおいでよ。喜ぶから。春花ちゃんは娘みたいなもんだからな」
「うん、今度行くね！」
「奥さんにも言っとくよ」
「春花ちゃん！お帰り」
「春姉、お帰り！春姉、綺麗になったよなぁ～」
「春花さん、お帰りなさい！本当だ、綺麗になってるよ」

工場に行けば、皆、顔見知りで、小さいころから遊んでくれた人もいる。
この人達の笑顔を無くさないために、お父さんとお母さんと純太は苦しんでいる。

「みなさん、いつも支えてくれてありがとう」
私が頭を下げて、お礼を言うと
「何言ってんだよ！俺達みんな、社長や奥さんに世話になってるんだ！礼を言うのは俺達だ」
お父さんとお母さんはきっといつも覚悟を持って経営していた。
翔さんも社長として、いつもお客様と従業員のことを考えている。
私は経営者の娘として、覚悟しなければいけない。
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