愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「こんにちは。波月商事の田中です」
お父さんが客間に田中という人を通した。
客間はお父さん、お母さん、私とで座っている。

翔さんは、波月さんを玄関で待っていて、自分達が来るまでは、話を進めないようにと言われた。
「ところで、お話は考えていただけましたか?」
「その話は、後ほど・・・」
「後ほど?あぁ、それもそうですね。お見合いが始まってからの方が、話は早いかもしれない。もうそろそろ来られるはず」

その時、玄関の開く音が聞こえ、足音がこっちに向かってきた。
「あ、来られたかな?」
田中さんはにこにこして、波月さんを待っていた。
「これは波月さん」
波月さんという人は、凄く険しい顔をしている。
その後に翔さんが付いてきた。
「この方は?」
「コンサルティング会社の社長で、日比野春花さんがお付き合いしている方だ」
「へっ?」
田中さんは私の顔を見て、波月さんの顔を見ていた。
「日比野さん、波月商事を代表して、この度の事はお詫びします」
波月さんは、正座をして、深々と頭を下げた。
「波月さん、何を!」
「それ以上、しゃべるな。そして私と波月商事を侮辱するな。あなたの今までの卑劣な行いと今回の事は、帰ってからゆっくりと話します。父も含めてね」
波月さんの怒りが混じった言葉で、田中さんはあわあわした口元で、何を言われたのかを悟ったようで、項垂れていた。
< 50 / 110 >

この作品をシェア

pagetop