愛するあなたへ〜blue roseを私にください
声と同時に、振り返った女性は明子さんだった。
私は、振り向いて走り出した。
別れた彼女に、私に嘘ついてでも会いたかったの?

「春花!待って」
直ぐに翔さんに追いつかれ、腕を掴まれた。
「離して下さい!」
「話を聞いて」
「今は聞きたくないです!離して下さい」
私は腕を振り払い、歩き出した時、また翔さんに腕を掴まれた。
「翔さん、離しっ」
最後まで言葉を言う前に、唇で塞がれてしまった。

私は慌てて、胸を押して下を向き、翔さんの唇から離れる。
「止めてください!それに人も見てるし」
「俺は誰に見られようが構わないよ」
翔さんの手が私の顎にかかり、強制的に顔を上げられ、翔さんを見上げる。
また顔が近づいてきた。
「わ、わかりましたから」
翔さんの顔が寸前で止まり、私の肩を抱いて、明子さんを見ることなく、歩き出した。

少し歩くと、人通りが少ない、オフィス街に出た。
「元カノの明子さんと会ってたんですね」
嫌な私。凄く嫉妬してる。
「最近、しつこく連絡があったから、もう連絡しないように言ったんだよ」
「でも、明子さんは抱きついていました。きっとまだ翔さんが好きなんですよ」
嫉妬の気持ちが抑えきれない。
翔さんは、困った顔になって一呼吸於いて、私を見つめて話始めた。

「俺が前に勤めていた会社は、羽瀬コンサルティングっていうんだ」
聞いたことがある名前だ。
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