愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「話、聞いてくれるよね」
「・・・はい」
「ありがとう。ただ、その前に春花の温もりを感じたい」

上着を脱ぎ、ネクタイを片手で慌ただしく緩める姿にどきっとした。
そして、ゆっくりと唇を重ねながら、2人はベッドへと沈んでいった。
激しく唇を奪われ、翔さんの漏れる声が耳に響き、逸る気持ちを感じた。
「春花が俺の腕の中に戻って来てくれた。嬉しいよ」
「・・・酷いこと言って、ごめんなさい」
「俺は一生、春花だけのものだから。俺の横に似合うのは春花しかいない」
「翔さん・・・」

翔さんは愛おしそうにゆっくりと時間をかけて愛してくれた。
もう、温もりを感じることは、無いかもしれないと思っていた翔さんと愛し合えることに、不安も嫉妬も吹き飛び、体中に幸せが覆う。
キャンドルライトで浮かび上がる2人の影が、愛し合う2人の幸せを語っていた。

余韻冷めやまぬ中、私の髪をかき上げながら、翔さんが口を開いた。
「春花、このまま話をすると、きっと俺、また抱いてしまって、話が進まないから、シャワー浴びて、ソファで話しようか」
きっと、そうなると私も拒めない。
「はい」
「じゃあ行こうか」
「い、いえ、先に翔さん行ってください」
「恥ずかしがらなくていいのに」
軽く唇にキスをして、翔さんが先にシャワーを浴び、私が上がった時には、翔さんが紅茶を入れてくれていた。

ソファに2人で座り、翔さんがゆっくりと話し出した。
「父は、会社を大きくすることばかりで、若手は業績アップばかり気にしていたし、プライドも高い奴ばかりだったよ」
ため息交じりで話す翔さんは、どこか寂しそうだった。

「俺もね、数年は顧客のことより、仕事の仕方に誇りを持つというか、いかに上手くプレゼンして、取引してもらうか、そんなことばかり考えていたんだ」
今の翔さんでは想像がつかない。
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