愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「それよりも、私プレゼンなんか無理ですよ!それに大勢の人の前で話をするなんて・・・」
「大丈夫だよ。人事コンサルだろ?以外と親父もたぬきかもな」
「どういう事ですか?」
「佐野さんは、羽瀬にいた頃は、人事コンサルの人気アドバイザーだ」
「えっ?佐野さん、管理部だったんじゃ・・・」
「15年くらいはアドバイザーだったんだよ。家の都合で管理部に異動したけど、それからも皆相談していたからね」
「それで人事関係のコンサル依頼があれば、会議に佐野さんが入ってるんですね」
「そうだよ、アドバイザーとしての仕事を教育しているんだ」
「佐野さん、やっぱり凄いです」
「それが分かってたから、親父も不利ではないと判断したんだろ。後は春花がどれだけ熱意を持って話せるかだ」
「私、自信ないですよ・・・」
「春花、ダメな時は、俺は全部捨ててでも、春花と一緒に一から出直す。だから、何があっても心配するな」
楽しそうな翔さんとは正反対に、私は血の気が引いて倒れそうだった。

休み明けの月曜日、早速、翔さんは佐野さんと私を社長室に呼び出し、休みでの出来事を説明した。
「佐野さん、そういう訳なんだ、どうか力を貸してください」
「私は、社長の味方でもあり、日比野さんの味方でもあるんですよ。私で出来ることがあれば、何でもしますよ」
「ありがとう」
翔さんは深々と頭を下げ、私も一緒に頭を下げた。
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