愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「私にできることは、今は微力かもしれません。コンサルのこともよく理解できていませんが、社長や皆さんが、お客様に対してコンサル活動される中で、少しでもお役に立ちたいです。直接お客様の笑顔は見れなくても、皆さんの笑顔に繋がれば、私も嬉しいです」

在り来たりな言葉かもしれないけど、真剣な目で訴えるような言葉が、心に響いた。
俺には、目指している会社の在り方がある。
きっと彼女なら佐野さんや他の皆のサポートをしながら成長してくれるだろう。

「佐野さん、彼女、俺は合格だよ」
「良かったです。あっ、例のことはちゃんと彼女にもいいますから。まぁ、指輪みたら悟るでしょうけど」
「あぁ、お願いします」

俺は左手の薬指にはめる指輪を見つめた。
「偽りの指輪か・・・俺にとってはただの飾りだけどな」
その時は、その指輪をつけたことを後悔するとは思っていなかった。

日比野さんが入社し、当初2ヶ月は佐野さんに会社のことをびっしりとたたみ込まれていた。
見た目と違って、思ったより仕事の飲み込みが早かった。
「社長、日比野さん、事務の経験もあるし、ご実家が会社の経営されていたので、話が通じやすいんです。秘書的な仕事も少しずつ任せてもいいですか?」
「あぁ、いいよ」
佐野さんが日比野さんに連れられて、社長室に来た。
「あ、あの社長、宜しくお願いします」
緊張しているのか。
< 85 / 110 >

この作品をシェア

pagetop