最大級の愛を君に
夢見ていた世界
ずっと憧れてた。
あの窓の先のずっと遠く。
本の中の世界じゃなくてじゃなくて、ずっとずっと遠くの世界。
私の知らない、新しい世界。
そこには何があるのかこの目で確かめたい。
だから早く、早くここから出たかった。
なのに。
…それなのに。
「こんなのってひどい〜!」
うわーんと屋敷中に広がる泣き声。
うるさいったらありゃしない。
…ええ、正解。正真正銘これは私の泣き声。
だってだって、これは本当に説明しても説明したりない出来事があって。
私だって好きでこんなに泣き喚いているわけじゃあない。
私、花山院結李(かさんのいんゆうり)はそんな自分の中のもう1人に言い訳するかのように今までの出来事を思い出していた。
これはついさっきの出来事。
「結李様、おはようございます。
今日の朝食は洋食になっております。あと15分過ぎた頃に出来上がりますのでご準備を」
「ふわぁ〜おはよちかげ」
「おはようございます」
いつもと変わらない時間に起きて、いつもと変わらない準備をして、いつもと変わらない朝を過ごす。
今日も何も起こらず、つまらない1日。
そう思っていた、その時までは。
「…は?婚約パーティー?」
待ってなんて??