最大級の愛を君に
「おにーさんないてるのー??」
小さな子どもの声が聞こえ、俺の走馬灯が終わりを告げた。
俯いていた顔をあげると幼稚園児くらいの女の子がベンチに座っている俺を覗き込むようにしゃがみ込んでいた。
おにーさん今すごく大事な話をしてたんだけどな……。
「こら!近づいちゃダメでしょ!」
その子の母親らしき女性が女の子に近寄り腕を引っ張り俺から離した。
ギロッと睨まれギョッとする。
おいおい。俺は何もしてないぞ。
「えーだっておにーさんかなしそうなんだもん」
「いいから!」
俺は完璧この公園で不審者扱いされてるらしい。
周りを見渡せばこちらを見ながらヒソヒソ話している人たちがちらほら…。
確かに今の俺は多分、いや、とてつもなく怪しい。
でもだからってこんなピチピチの男の子を不審者扱いするか?
俺だって普通の男子高校生なんですけど。
いや、普通ではないけど。
もう全然学校なんて1週間くらい通ってはいないけど。
それでもまだ在籍はしていると思う……。
反論してやろうと思ったが、そんな勇気はない。
そんな事したらたちまち噂になって、この公園の七不思議とか奇妙な怪奇現象みたいな伝説の男になってしまう。
……うん。そうだ。家に帰ろう。
俺はそっと立ち上がってベンチの脇に止めた、つい最近中古で買った原付バイクをひいて居心地の悪い公園を後にした。