いつかキミが消えたとしても
☆☆☆

昨日のように誰かに呼び止められることもなく教室を出て、昇降口へ向かう。


英介との関係は以前と変わらず、気にしていたほどぎこちない様子にはなっていなくて安心した。


けれど少し気になったのは青っちの方だった。


英介から告白の結果について聞いたのか、朝の挨拶のときからずっとぎこちなかった。


舞から話しかけても一言二言会話を交わしただけで逃げてしまう。


その様子を思い出して舞はため息を吐き出した。


なんだか青っちと距離ができてしまった気がして仕方がない。


好きだと気がついてまだそんなに時間も立っていないのに、舞にとって想定外の出来事だった。


これから先うまくいくことがあるんだろうか。


そんなことを考えながら昇降口へ到着したとき、青っちがそこにいることに気がついた。


「青っち、なにしてるの?」


舞はできるだけ自然に声をかけた。


「舞を待ってたんだ」


青っちはまだぎこちない様子で、舞から視線をそらしつつ言う。


青っちは英介の友達だから、友達がフラれたことでなにか言いたいことがあるのかもしれない。
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