いつかキミが消えたとしても
最初は手を繋ぐだけでも緊張していたけれど、それもどんどん慣れてきた。


これからもっともっと2人の距離は近づいて行くはずだ。


それは楽しみで、少し恥ずかしさも感じる。


舞の心臓がドキドキと高鳴り始めた時、不意に青っちの手に違和感があって視線を向けた。


その瞬間、舞は自分の目をうたがった。


握りしめられている青っちの手が少しだけ透けて見えたのだ。


「えっ」


思わず口に出してしまい、青っちが不思議そうな顔を舞へ向けた。


「どうした?」


質問されたとき、すでに青っちの手は元通りになっていた。


透けてなんかいない。


舞は何度か目をこすってみたけれど、もう透けることはなかった。


きっと見間違いだったんだろう。


「ううん、なんでもないよ」


舞はそう言い、気を取り直すように車窓の外へと視線を向けたのだった。
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