いつかキミが消えたとしても
そんな心配をしていたとき、教室前方から青っちが入ってきた。


「あ、旦那さんのおでまし!」


愛が嬉しそうに舞を囃し立てる。


舞は青っちの姿を目に止めた瞬間、無意識にかけよっていた。


心配そうに背の高い青っちを見上げる。


「おはよう舞」


「うん。青っち、今日はなんともない?」


「大丈夫だよ。昨日はなんかちょっとフラついただけ。おかしいよなー今まであんなこと1度もなかったのに」


青っちは自分でも不思議みたいで首を傾げている。


普段どおりの青っちの様子にひとまず胸をなでおろす。


「そっか、それならよかった」


舞が微笑んだ瞬間、青っちの体がフラついた。


慌てて手を差し出すと青っちは舞に体重を預けてきた。


「青っち!?」


「大丈夫。でもなんか……」


青っちの声は弱々しい。


一瞬にして額に汗が滲んで、よく見ると首元が透けているように見える。


舞は息を飲んで青っちの首元を見つめた。


向こう側の壁が透けて見えている。


これってどういうこと!?


混乱しそうになったとき、透けていた部分は何事もなかったかのように元に戻った。


そして青っちも大きく息を吐き出し、舞から離れる。
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