いつかキミが消えたとしても
☆☆☆

舞と英介がやってきたのはあの小さな公園だった。


相変わらず手入れがされていなくて、今にも朽ちて崩れ落ちそうな滑り台がある。


舞は公園のベンチに座って周囲を見回した。


ここにはいろいろな思い出がある。


恵美たち3人組にこっぴどくイジメられたし、青っちとキスもした。


小さくて汚い公園だけれど、ここ数週間で舞にとってはとても大切な場所になっていた。


「青っちと同じ病気の人の動画ブログを見てたの。その人、同じ17歳で、もう完全に見えなくなってた」


舞の静かな声が公園に響く。


風がさわさわと雑草を揺らして、それは今の舞には泣き声のようにも聞こえてきた。


「それで、いつか青っちもこうなるんだと思うと怖くて……」


舞は布団の中でしたように自分の体を抱きしめた。


そうして置かないと自分の体が消えてしまうのではないかという、恐怖があった。


「そっか。でも、青木君は今でも舞が来るのを待ってるよ?」


「わかってる。でも……」


どうしても勇気が出ない。


昨日より今日。


今日より明日と悪化していく青っちを見ていられない。
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