いつかキミが消えたとしても
舞が友人たちと一緒に帰宅していると、前方でクラスメートが青っちを囲んでいたのだ。


嫌な予感がした舞はすぐに駆け寄った。


『あんたたち、なにしてんの!』


すると案の定、青っちはクラスメートたちの荷物をすべて1人で持たされていたのだ。


何度かころんだらしく、膝や手を擦りむいて血が滲んでいた。


それでも荷物を運ばせている男子たちに怒りが湧いてきた。


『あんたたち、自分の荷物も自分で持てないの!? それこそ男女だね! 青っちの方が断然男らしくて力持ちじゃん!』


舞がそう言うと、男子たちは当然反論した。


女が出てくるな。


ジャンケンで荷物持ちになったんだから仕方ないだろ。


出たな青っちの鬼嫁!


様々な罵倒を浴びせられても舞は引かなかった。


あまりにうるさい男子たちのランドセルをひとつひとつ川に投げ込んでやって、最後には泣きながら帰っていったのだ。


その後舞は怒られることになるのだけれど、その時ですら清々しい気分だった。


そして残された青っちを立ち上がらせると、傷のできた手のひらに向けて息をふきかけた。


『ふぅーふぅー。これでケガは治るからね』


『え、そうなの?』


青っちは涙をにじませた目で舞を見る。


『うん。おばあちゃんに教えてもらったおまじないだよ』
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