いつかキミが消えたとしても
休日
あぁ、どうしてあんな言い方しかできなかったんだろう。


家に戻ってから舞は何度目かのため息を吐き出した。


キッチンに立ち、肉じゃがをつくっていてもなかなか身が入らない。


肉じゃがの鍋の中を見ていても、どうしても青っちの顔が浮かんできてしまう。


英介にひどい言葉を投げかけても何度も感じないのに、青っちの時だけは胸が傷んで仕方がない。


そんな自分をひどいヤツだと思うけれど、付き合いも思い出も全く違う2人が相手だからこればかりは仕方がなかった。


あ~あ、と大きなため息をまたひとつこぼしたとき、鼻腔刺激する匂いがした。


ハッと息を飲んで鍋を確認してみると肉が鍋の底に焦げ付いて、張り付いてしまっている。


「しまった!」


慌てて火を止めてももう遅い。


鍋の中には焦げた肉じゃがだけが残されていて、舞はまた盛大なため息を吐き出したのだった。
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