いつかキミが消えたとしても
舞は洗濯機を回している間に母親と自分の分のトーストを焼いて、お皿に移した。


「ありがとう。今日は学校休みでしょう? どこか行くの?」


テーブルについて最初の質問に舞は言葉をつまらせた。


2年生になってから全然遊びに出なくなったから、なにか感づいていることでもあるのかもしれない。


「うん。友達と遊びに行ってくる」


平気な顔をして答えながら、今日は市立図書館にでも行って時間を潰そうと考える。


この街の図書館は大きなショッピングモールの最上階に入っているから、1人でも1日時間をつぶすことは難しくない。


「そう」


母親は舞の返答に安心したように微笑んだ。


いたたまれない気分になったとき、助け舟のように洗濯機が止まる音が聞こてきた。


「あ、私洗濯物してくるね」


舞はすぐに立ち上がり、母親から離れたのだった。
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