いつかキミが消えたとしても
☆☆☆

なんだか最近、人から逃げてばかりだな。


出かける準備をしながら舞は自己嫌悪のため息をつく。


遊びに行くと嘘をついてしまった異常、家でのんびりすることができなくなってしまったのだ。


別に誰にも会う予定はないから、ジーンズと無地の灰色Tシャツという、なんとも冴えない格好だ。


バッグは100円均一で購入した布のエコバッグ。


それに財布とスマホだけを入れればもう準備が終わってしまった。


せっかくだから面白い本を探してみよう。


そう思ってバッグを手にした時、玄関チャイムが鳴った。


部屋の外で母親が玄関に出ていく足音が聞こえてくる。


荷物とか郵便だろう。


来客がいなくなったら出かけようと思っていたところで「舞。お友達が迎えに来たわよ」と、母親から声をかけられた。
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