この恋は、『悪』くない。
「結婚線て、どれ?」
「え???」
急に言われた言葉が
理解不能だった
樽崎くんは
私の掌を
ジッと見てた
眉間にシワ寄ってる
樽崎くんが真剣になってる時の癖
「沙和、あの占い、信じてんの?」
「…占い…?」
「30すぎたら結婚するとかいう…
よく当たる占い師とか言ってなかった?」
「あー…」
よく当たる占い師さんの話を
前に樽崎くんにした
あの時は
私と樽崎くんは
まだ付き合ってなかった
「結婚線…どれ?」
「結婚線?
結婚線は…んー…どれだろう…
コレかな…」
樽崎くんのよくわからない質問で
さっきの不安が少しなくなった
「んー…ぜんぜんわかんね
やっぱ、無理…」
無理っていう言葉が
また不安にさせる
「オレ、占いとか興味ねーし
手相とかわかんねーけど…
その占い師、インチキじゃね?」
「え、そんなの、わかんないけど…
2ヶ月前から予約して
やっとみてもらったんだよ
10000円もしたし!」
まだ学生だった私には
痛い出費だった
確かあの時
付き合ってる彼氏がいて
その後すぐ別れた
やっぱりこの人じゃなかったんだ!って
当たってる!って
納得した気がした
「んー…」
樽崎くん
まだ眉間に力入ってる
「樽崎くん、どーしたの?」
今日の樽崎くんは
やっぱり
変
「沙和、今いくつだっけ?」
「え、いくつって…年齢?
26
楢崎くんと同じだよ」
「んー…だよな…」
当たり前すぎる質問
今日は変な質問ばっかり
「どーしたの?
樽崎くん、今日おかしいよ」
「その占い師、詐欺だ
当たんねーよ、絶対!」
「…え?…なん…で?」
「…だって…」
「だって…?」
心臓が
変に動く
樽崎くん
こわいよ
嫌な沈黙
なんでいつもみたいに
笑ってくれないの?
今すぐ抱きしめて欲しいのに
樽崎くんから抱きしめてもらえることは
もしかしたら…
もぉ、ないのかな?
最悪な事を考えてしまう