この恋は、『悪』くない。

「オレはオレなりに
いろいろ考えたつもりだったんだ

だから親父の命日に相談してきた
沙和にプロポーズした日

結婚したい女がいるって…

そしたら親父は
幸せにしてやれ…って…

母さんは
晴輝も大人になったね…って…」



「樽崎くんには
お父さんとお母さんの言葉が聞こえるんだ」



「フ…
オレ、占い師よりすごくね?」



「うん、占い師もビックリだね」



「父さんと母さん
中学の時の同級生だったんだって…

母さんが亡くなる前の日に言ってた

あの時オレ、中学生だったじゃん

晴輝も好きな人いないの?って
母さんに聞かれて
そんなの恥ずかしくて言えるわけねーだろ
だから、いねーよ!って言って…」



「え、いたの?」



「いただろ!
わざと聞くな!」



「その次の日に母さんが亡くなって
母さんに山咲のこと見せたかったな…って…

手、引っ張って
コイツが好き!って
母さんの前で言いたかったな…って…

スゲー後悔した

だから
今度会ってよ

うちの両親にも
沙和のこと、紹介するから…」



「うん
大丈夫かな?
私で心配しないかな?」



「うん、喜ぶと思う
オレが笑ってたら…」



私もこの人の隣で

笑ってたい



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