この恋は、『悪』くない。
「沙和、レモン買ってきたから食べる?」
「レモン?
酸っぱくて食べれないよ」
「妊娠すると酸っぱいの食べたくなるだろ」
「んー…そんな、なんないかな…
妊婦さんみんなが
酸っぱいの食べたくなるわけじゃないし…
しかも、レモンは酸っぱすぎて食べれないよ」
「なんだ…
あと、腹巻き買って来た
腹冷やすなよ」
「うん…
樽崎くん、やたらと詳しいね」
もしかして
経験がある、とか…?
「カズが前に人妻と付き合ってたから…」
「最低…」
「でも、幸せそうだったけど…」
私には
よくわかんない
「あ、おっぱいも大きくなるって言ってた」
樽崎くんが私の胸を触った
「…カズくん、最低ーーー!」
「カズのこと嫌いになった?」
「もともと好きでも嫌いでもないよ」
「ならいいけど
オレがいない時、カズが来たら
絶対に家に上げるなよ!
カギかけろ!」
「うん、それは私も前から思ってたよ
カギかけよ!
ねー、アメ
アメも連れて行かれたら大変だよね」
樽崎くんの膝の上にいる
アメに問い掛けた
ニャー…
ん?
樽崎くん
アメの肉球を真剣に見てる
眉間に力入りすぎ
ニャー…
「どーしたの?
アメ、嫌がってるよ」
「猫って手相あんのかな?」
「ハハ…まだ手相気にしてるの?」
「フ…だって…
凄い占い師に悪いじゃん」
うん
樽崎くんが
私の運命を変えた
30分10000円の占い師より
樽崎くんを信じた
「あ、手相ってね、ペンで書けばいんだって!
自分がなりたいように書けばいいの
前にテレビで言ってたよ」
「へー…」