この恋は、『悪』くない。

「え!!!」



車を見て

もっと驚いた



「こんなに大きいの?」



「だって後々家族増えるし…
これで足りるかな?」



「だって、コレ…」



「8人乗り」



「そんなに急に増えないよ
何人産めばいいの?」



「フ…何人でも!
足りなかったら
もっと大きい車にする!」



「ハハ…
8人乗りより大きい車ってあるの?」



「いいから…
安心して産め!

あとさ
オレの両親はもぉいねーけど…
いつか沙和の両親連れて
旅行とか行きたいと思って…

親孝行しようよ」



樽崎くんから

親孝行っていう言葉が

出てくるとは思わなかった



お父さんとお母さんが離婚して

私たち3人

バラバラだったけど



樽崎くんが

また

3人を家族にしてくれてる



樽崎くんを加えて

4人かな



それから

もう少しで

5人になる



「樽崎くん、ありがと

両親も喜ぶと思うし
私も嬉しいよ」



「フ…なんか、オレも嬉しいよ

家族が増えるって、いいな

オレ、ひとりだったのに
沙和と出逢えて、家族ができる

あの時、沙和に会ってなかったら…
あの時、沙和を好きになってなかったら…

きっと
まだひとりで…

きっと
一生ひとりだった

沙和
オレのために生まれてきてくれて
ありがと」



ひとりだった樽崎くん

家族が欲しかったんだ



私は独りっ子だったから

兄弟が欲しかった



だから

結婚したら子供は何人か欲しいな…って

いつか樽崎くんに話した



たぶんそれも

樽崎くんは覚えててくれてるんだろうな



大きな車を見て思った



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