この恋は、『悪』くない。
ニャー…
「お!アメおかえり!
オマエも乗せてやる」
樽崎くんがアメを抱き上げて
車のドアを開けた
ニャー…
アメが助手席に飛び乗った
「アメ、ドライブするか?
…
沙和も行く?」
私はついでぽい
しかも1番にアメ乗せたし
やっぱり
アメには敵わない
さすが
アメ様々
「私も行ってもいいの?」
「フ…もちろん」
助手席にいるアメをヒザに乗せた
私も
助手席でよかったかな?
なぜか
アメに遠慮してしまう
「あ、沙和
シートベルト大丈夫か?
腹キツくない?」
「んー…大丈夫だよ
…
アメ動いたよ
ドライブだって!」
ニャー…
「アメ、驚いてるかな?」
「フ…わかんねー
アメ、いつも無表情だから…」
「なんだ
樽崎くんはアメと喋れないんだ」
「喋れねーし…
…
けど、
アメはオレのこと全部わかってくれてる」
赤信号に停まって
樽崎くんが私のヒザの上のアメを撫でた
「男の子か女の子かわかった?」
今度は私のお腹を撫でた
「んー、まだわかんない
どっちがいいかな?」
「オレはどっちでもいいけど…
沙和が無事であれば」
「そんなこと言って
女の子が産まれたら
樽崎くん、メロメロになるんじゃない?」
「フ…かもな…ヤベー…」
「ニヤけてるよ、パパ」
「…やめろ…その呼び方…
なんか、照れくさい」
「ハハハ…」
「新婚旅行は
子供産まれて落ち着いたら3人で行こう」
「うん、楽しみだな」
「沙和の行きたいとこ
どこでも連れてく」
その時は
もぉ3人になってるんだ
3人て…
なんかまだ想像つかないね
「子供が産まれる前に
沙和に頼みたいことって言うか…
守って欲しいことある」
「なに?門限?
ハハハ…
大家さんから?
…
ん?それともパパから?」
「や、オレから…」
「ん?樽崎くん、から?」
「そぉ!オレから!
…
言うの恥ずかしいけど
恥を忍んで言うから…」
「うん、なに?」
「子供産まれても…
この先、家族が何人になっても…
…
オレのこと…
…
好きでいろよ」
樽崎くんは
運転しながら
真っ直ぐ前を見て言った
「うん…
好きだよ
…
好きでいるよ
…
樽崎くんもね
…
好きでいてね…私のこと…」
また赤信号になって
車が停まって
ーーーーー
楢崎くんがキスしてくれた
「好き…沙和…」
「うん…私も…」
ーーー
もう1回
触れて
「好き…山咲…」
山咲…
たぶん樽崎くんは
あの時の私のまま
私を好きでいてくれてる