この恋は、『悪』くない。
「おつかれ!」
「「おつかれさまです」」
カチン…
「あー、久々ワインとか飲んだ」
「森谷さん
ラーメンのスープしか飲んでないですもんね」
「よく知ってるね」
「会社で知らない人いませんよ
森谷さんのラーメン好き
あ、彼氏から電話…
ちょっと、スミマセン…」
同期と森谷さんが
ずっと話してくれてたから
助かってたのに
森谷さんと
ふたりになった
「先輩といんのに彼氏優先すんなよ
まぁでも、
オレも彼氏だったら
優先されてたら嬉しいかも…」
森谷さんが
独り言みたいに言った
「あの…
スミマセン…まだ…」
「とりあえずさ
今日の澤村さんの気持ちでいいから
返事もらえる?
…
しつこいけど
返事もらわないと
お互い進まないじゃん」
確かにそーだよ
「はい…スミマセン」
「別に謝らなくていいよ
じゃーさ、次飲むワイン
Yesだったら赤
Noだったら白
ロゼとかナシね!」
「は、はい…」
「ごめーん、沙和
スミマセン、森谷さん」
「彼氏なんだって?」
「先輩もいるって言ったら
嫉妬されちゃって…」
「は?
あ、ごめんね
オレ、今好きな子いるから」
え、私のこと!?
「ホントですか?
付き合っちゃう感じですか?」
「んー…どーかな…」
「あ、意味深!
時間の問題ってヤツですか?」
「うん、時間の問題」
リアル
「えー…
うまくいったら紹介してくださいね」
「そんなこと言って
オレの事なんてぜんぜん興味ないでしょ
彼氏のことしか考えてないだろ」
「あ、バレました?」
「いいね…そんな彼女」
「え、森谷さんもしかして私のこと…」
「や、絶対ないから!
自分の彼女がそんなに想ってくれてるって
男としたら嬉しいと思うよ
だから、いいな…って思っただけ」
私は
今まで付き合った彼氏を
そこまで想ったことなんかないな…
誰かといても
その人のことを考えて
何をしてても
その人が優先で
そんなふうに
付き合った事
なかった
森谷さんと付き合ったら
そんなふうになれる?
自分に問いかけた