【完結】不倫夫との離婚計画〜3ヶ月後に離婚します〜


 わたしはその言葉で、夫の覚悟を感じた。本気の、覚悟を……。

「……陽花、これは陽花が持っててくれ」

「え……?」
 
 夫はその離婚届を、そっとわたしに手渡した。

「陽花に持っててほしいんだ。 本当に俺たちがもし離婚することになったら……俺が出すよりも、陽花が出せる方がいいだろ?」

「……でも」

「だから、これは陽花が持っててくれ」

 夫はわたしにそう告げると、わたしの右手を握りしめてきた。

「……分かった」 

 わたしはそっと、離婚届を受け取った。

「俺は陽花と……ずっと一緒にいたい。本気でそう思ってるから」

 夫からその想いを告げられると、すごく伝わってくる気がした。

「……ごめんね、千洋」

「何言ってるんだ、俺こそごめんな」 

 この前信じることの出来なかった夫の言葉を、今なら信じられる気がした。
 なぜなのかは分からない。 けど、もう一度信じてみたいと思えたんだ。

「陽花……ちょっとだけ、抱き締めてもいいか?」

「……うん」

 夫はわたしの目の前に来ると、そのままそっと優しくわたしを抱き寄せた。
 包み込むように、優しく……。

 そんな夫の温もりを感じて、わたしは涙が出た。
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