【完結】不倫夫との離婚計画〜3ヶ月後に離婚します〜


「陽花、プロポーズの時のこと、覚えてるか?」

「え?」

 プロポーズの時のこと……。そんなの、忘れる訳がない。

「俺がプロポーズしようとした時、俺結婚指輪の箱を落としちゃっただろ?」

「そうだったね」

 それはよく覚えている。 夫はわたしにプロポーズしてくれた時、スーツのポケットから指輪の入った箱を取り出したのだが、取り出した時に箱が空いてしまって……。
 ダイヤの付いたキレイな指輪が、見えてしまったのだった。

「その時、箱を拾ってくれたのが陽花でさ……。それを見た陽花は、何も言わずにそっと返してくれたんだよな、その箱を」

「……そんなこと、あったね。懐かしい」

「でも俺、その出来事があったから、余計に陽花と結婚したいなって思ったんだ。 陽花とじゃなきゃ、やっぱりダメだなって思った」

 そう告げる夫は、ソファに座ったわたしの手を握りしめると「陽花は俺の自慢の妻だよ、本当にありがとう」と言ってくれた。

「……どういたしまして」

 夫はこんな風にユーモアのある人だ。プロポーズの時も、プロポーズする前に箱を落としてしまったくらいだしね……。
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