【完結】不倫夫との離婚計画〜3ヶ月後に離婚します〜


「はい。到着」

 駐車場に車を駐車し、車から降りる。

「結構人、いそうだな」

 駐車場に停められた車の数を確認した千洋は、そう言ってきた。

「そうだね。結構混んでそうだね」

「……よし、行くか」

 わたしの手を握ってくる千洋。夫婦なのだから、手を繋ぐことになんの不思議もない。
 けど、浮気相手とてもこうやってデートしたり手を繋いでいるのではないかと思うと、なんか腹が立つ気がする。

「そういや、陽花」

「何?」

「陽花さ、新しい包丁欲しいって言ってなかったか?」

 そう言われたら確かに、いつぞやかそんなことを口にした気がする。 よく覚えてたな、千洋。

「覚えてたんだ」

 と歩きながら口にすると、千洋は「当たり前だろ?」と言った。

「包丁、新しいの買うか。なかなか切れなくなってきたしな」

 そう口にする千洋に、わたしは「うん」とだけ返事をした。

「順番に見てくか?」

「うーん……そうだね」

 夫婦でデートなんて、本当なら幸せなことなんだと思うけど、心から楽しめるかどうかも分からない。

「見て、千洋」

「んん?」
< 12 / 139 >

この作品をシェア

pagetop