【完結】不倫夫との離婚計画〜3ヶ月後に離婚します〜


 千洋はいつもそうだ。何かを聞くと、わたしに合わせてくれる。
 まるで自分のことより、わたしのことを考えてるよと言っているみたいに。

「会計してくるよ、ちょっと待ってて」

「うん。じゃあそこにいるね」

「分かった」

 入り口にあるベンチに座って待つことにした。



「お待たせ、陽花」

「ううん」

 会計を終えて戻ってきた千洋と、また肩を並べて歩き出す。
 
「なんか混んできたな」

 アウトレットに到着してから一時間もすれば、人の流れが増えた気がした。 

「そうだね。さっきより混んできたかも」

「逸れるなよ、陽花」

 そう言って手を握ってくる夫。わたしはその手を握り返し「分かってるよ」と答えた。

「ほしい物があったら、遠慮なく言ってな?」

「……うん。分かった」

 わたしの夫は、本当に優しい人だ。気を遣ってくれたり、心配もしてくれる。 そんな夫なら、誰だって自慢したくなるに決まってるはずだ。
 ……たった一つ、【浮気している】ということを除けば。

 浮気をする人間は、何度でもそれを繰り返すと聞いた。……きっと夫だって、そうなのかもしれない。
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