【完結】不倫夫との離婚計画〜3ヶ月後に離婚します〜

 
「陽花……」

 陽花の手を握ると、陽花の手が少し動いた気がした。

「ごめんな、陽花……」

 陽花がこんな風になるまで傷付けて……。
 俺が悪かったよ、だから頼む。目を覚ましてくれ……。

「……陽花!?」

 そしてしばらくすると、陽花の瞼がゆっくりと開いた。

「ち……ひろ……?」

 陽花は俺を見るなり、俺の名前をそっと呼んでくれた。

「陽花、良かった……」

「どうして、あなたがここに……?」

 陽花は俺がなぜここにいるのかと問いかけてくる。

「病院から連絡をもらったんだ。陽花が倒れて緊急搬送されたって」

「……そう、なんだ」

 陽花は俺の手をそっと離すと、天井を向いてしまった。

「陽花、先生から聞いたんだけど……」

 そんな中俺は、陽花に妊娠のことを切り出すことにした。

「……聞いたって、何を?」

 陽花は俺に視線を向ける。

「陽花……妊娠、してるんだろ?」

「……え」

 そう言った瞬間に、陽花の表情が変わった。

「どうして言ってくれなかったんだよ、陽花。……どうして黙ってたんだ?」

「……別に。言う必要がなかっただけ」
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