あの日溺れた海は、
「これ、あの」
人通りの少ない廊下へたどり着くと、今度こそポケットの中から封筒を取り出し、先生の目の前に差し出した。
先生は未だ意味がわからない、といった風な表情をしながらもそれを受けとった。
「写真です、合宿の。」
先生が封筒から写真を出した瞬間にそう付け加えた。
「はあ。」
先生は気の抜けた声で答えながらも封筒の中から写真を取り出して、じっと見つめた。
「月が、先生にもって。…せっかく、撮ったから…」
迷惑だったのかな。
わたしは途端に不安な気持ちを浮かばせながらも先生の様子を伺った。