あの日溺れた海は、
しばらくして本鈴が鳴る少し前におじいちゃん教室へ入って来た。そして本鈴とほぼ同時に後ろのドアから藤堂先生が入室してきた。
亮はその現場に居合わせたから別として、自ら過去の傷を晒すことなんて今までなかったのに、昨日勢いだけで藤堂先生に打ち明けてしまったことを今更後悔していた。
恥ずかしい。わたしの唐突な告白に先生は内心どう思っていたのだろうか。
静かに聞いてくれていたけれど、内心面倒臭いだなんて思っていなかっただろうか。
そう思うとどんどん心が沈んでいく。
ただの生徒からいきなりあんな重たい話されたら引くよね…。
悪い考えは止まなくてHRが終わるのと同時に廊下に出た先生の背中を捉えると思わず顔を逸らした。