あの日溺れた海は、
「そう〜?まあはなに限ってそんなことありえないか〜」
どんなことを想像していたのかはわからないが勝手に自己完結した月にわたしはほっと胸をなでおろした。
そうだよね。先生に限ってそんなこと、する訳ない…。
そう思いながらちらりとテントの中で涼し気な顔をして座っている先生を見る。
『教師の仕事ですので』
わたしの暗い過去も受け止めるのが教師の仕事だと返した先生。
もし仮に頬を撫でたのが先生だったとして、
それも『教師だから』なのかな。
わたし、先生のことがわからないです。
嬉しさも寂しさも憎しみもすべてが重なった複雑な感情に瞳を揺らすと、空を仰いで誤魔化した。